moto-toyoda.net TopPage>Professional Baseball Game Report>2007/09/19
豊田元広の野球観戦日記
'07観戦日記第10章「後楽園に舞い降りた野球の神様」
野球の神様は、時に感動を呼び込みます。

2007年9月19日 東京ドーム 北海道日本ハム【先発:ダルビッシュ】VS東北楽天【先発:田中】

←「炎の、感動の、ドタバタ続きの東京遠征シリーズ」9/18ロッテ-ソフトバンク

←ここまでの旅日記はこちらから(製作中)
 この試合を見る事に経緯を思い出すと、もともと6月ごろ、東京遠征を企画した際に、関東圏の主な球場の試合日程を調べていくと、9月のこの時期に、東京ドームで北海道日本ハムのホームゲームが開催されるということを知り、「じゃぁ、折角なのでそれを見に行くのも面白いだろう」+「あとの3試合が全て野外球場なので、もし3試合とも雨天中止になるという事態になっても、最後にドーム球場を持ってくることで雨を気にせず試合が見られる」という理由からでした。最初はそれだけのことでした。それらの理由でチケットを取ったんでした。

 しかしそれから3ヶ月が経つと、徐々にこの試合の意味するところが大きくなっていったのです。

 2007年9月はじめに、悲願の通算2000本安打を達成した、「ミスター・ファイターズ」こと田中幸雄選手。その田中幸雄が、2000本安打の達成を待っていたかのように戦力外通告を受け、悩んだ末に、引退を決意することになります。そのことを受け、本拠地・札幌ドームとは別に、ここ東京ドームも、彼が長年プレーしてきた場所ということで、引退セレモニーが実施されることが決まったのです。

 さらに、私はこの遠征の数週前から、各球団の先発投手を記録して、自分達が観戦に行く日の先発予想を立てていたんですが、それを行っていくうちに、この9月19日に、ダルビッシュ有と田中将大という、時期は違えど甲子園を湧かせた雄が先発になるのではないかという予想が立ちました。
 その先発予想は、18日に予告先発が発表されたことで現実のものとなりました。実はこの両雄のぶつかり合いは今季初とかで、スポーツニュースなどもそのことを大きく取り上げていました。

しかし私達にとっては、どちらも注目したい。そんな試合です。
最後の最後に、ものすごくドラマチックな試合が待っていました。

ドーム入口前でいつものメンバーと合流し、球場入りです。



試合前の練習風景より。この人が、公式戦でこの地でプレーするのも、今日が最後です…。


早速スタメン発表です。
東北楽天 日本ハム
6 渡辺 8 森本
4 高須 4 田中
5 草野 DH 稲葉
DH 山ア 3 セギノール
9 礒部 5 小谷野
7 憲史 9 工藤
8 鉄平 7 金子
3 大廣 6 金子
2 2 鶴岡
田中 ダルビッシュ


↑先発の田中とダルビッシュ。


さてこの東京ドーム。
前に訪れたのは今から4年前、2003年の8月に巨人戦の観戦、ということで訪れたんでした。
あの時はまだファイターズもここ東京ドームを本拠地としていました。
しかしそれ以降は、完全に「巨人の本拠地」というイメージが根付き、いたるところにその「巨人の本拠地」らしさを見ることが出来ました。例えば外野スタンドに飾ってあった↓写真のようなモニュメント。

王貞治、長嶋茂雄、金田正一など、巨人の永久欠番について飾っていました。



「2006 NIPPON CHAMPIONS」の輝かしいチャンピオンフラッグ。
ここ東京ドームにこのチャンピオンフラッグが飾られるのは、奇しくもあの2003年以来。
2007年、巨人は見事リーグ優勝を果たしましたがクライマックスシリーズに破れました。
東京ドームにチャンピオンフラッグは輝く事になりますが、巨人としては不本意極まりないことでしょう…。
(かといってあの補強はどうかと思うんですがね、個人的には。)


いよいよ試合開始です。
ファイターズのチアガールさんたちが球団旗を振って、守備につく選手を送り出します。



そして始球式ですが。


「只今より、始球式を行います。
本日の始球式は、
元・日本ハムファイターズの監督でもあり"喝!"でお馴染みの大沢啓二さんにお願いいたします」

あの日のキャッチャー稲尾さんや、ピッチャー星野仙一に匹敵する有名人の始球式ですよ。
すごい豪華な幕開けですよね…

ダルビッシュ・セギノール、さらに以前ハムの走塁コーチも担当した西さんとあわせてどうぞ。


試合開始。
ダルビッシュと田中の対決となると、和田と八木の投げあい並に緊迫した投手戦の予感がします。
点数もなかなか入らず、先に点をとったほうが絶対有利に傾くのではないでしょうか。

ところが1回裏。
田中賢介がスリーベースで出塁します。1アウト3塁という絶好の得点機。

そして。
♪I was... born to love you〜というテーマ曲と共に登場するのは。
「3番、指名打者、稲葉  背番号、41」
テーマ曲と共にメガホンが揺れます。こういう独特の応援方法も根付きましたね。

そして。得点圏にランナーがいる時の稲葉といえば…

らーらーらー らーらーらーららー…という曲と共に、

「地震ではありません!札幌ドームのスタンドのファンがジャンプしているのがすごい揺れとなって伝わっています!」
という実況放送を、プレーオフや日本シリーズなどで聞いたことのある人も多いでしょう。
あの噂の「稲葉ジャンプ」です。
私達の座っていた内野席では外野スタンドに近いごく一部の人だけがやっていましたが、外野席は殆ど全てのファイターズファンがジャンプしていましたね。実際に「ずん、ずん、ずん、ずん…」とゆれてましたよ。

そんな稲葉のタイムリーで幸先よく1点先制、さらに続く2回にも金子誠にソロホームランが飛び出し2点差に。


この先5回裏までをまとめた、各選手の結果と、スコアボードに表示されていた試合経過時間をあわせてどうぞ。
イーグルス ファイターズ
渡辺直:ショートゴロ
高須:セカンドゴロ
草野:フォアボール
山ア武:ショートゴロ
<TIME 00:07>
1回 森本:ショートゴロ
田中賢:スリーベース
稲葉:タイムリーヒット
セギノール:フォアボール
小谷野:ダブルプレー
<TIME 00:19>
礒部:三振
憲史:フォアボール
鉄平:三振
大廣:三振
<TIME 00:29>
2回 工藤:ショートフライ
金子洋:サードゴロ
金子誠:ホームラン
鶴岡:三振
<TIME 00:36>
嶋:ライトライナー
渡辺直:ファーストゴロ
高須:サードゴロ
<TIME 00:44>
3回 森本:ショートゴロ
田中賢:セカンドフライ
稲葉:セカンドゴロ
<TIME 00:52>
草野:セカンドゴロ
山ア:セカンドゴロ
礒部:ショート内野安打
憲史:セカンドゴロ
<TIME 00:58>
4回 セギノール:レフトライナー
小谷野:三振
工藤:セカンドゴロ
<TIME 01:05>
鉄平:フォアボール
大廣:バント
嶋:ライトフライ
渡辺直:三振
<TIME 01:17>
5回 金子洋:ヒット
金子誠:バント
鶴岡:ショートゴロ
森本:三振
<TIME 01:27>

5回終了時点で1時間半は結構早いスピードですよね。
ちょくちょくヒットが出たりチャンスやピンチはできるんですが、ここまではかなりのハイペース。
スコアボードに、たこ焼きの如く(by福本豊)次々とゼロが刻まれていきます。


最大のピンチは6回表にやってきました。
先頭の高須に三塁線を破られツーベース、
続く草野がヒットで繋いでノーアウト1塁3塁

しかしここでへこたれるダルビッシュではありませんでした。

山ア武司を148km/hの直球で空振り三振。

続く礒部の打球はいい当たりでしたが、ファースト・セギノールの真正面。
ライナーとなって、飛び出した草野も戻れずダブルプレー成立。

これにはスタンドも大歓声。
「いいぞ、いいぞ、セギノール!」コールが続きました。


え、私ですか?
周りの雰囲気に完全に呑まれた半分、自分でもファイターズの応援したかった半分で、完全にノリノリで声援送ってましたよ(笑) ホントは2004年に買ったメガホンもって行きたかったんですが、カバンに入りきらなかったため、手拍子だけでしたが…。


さて7回表開始前。
「がんばれ楽天イーグルス」が流れると共に、バックスクリーンのモニターには、「野村監督の名言クイズ」なる映像が流しだされました。↓のようなイラストまで作って豪華なつくりです。


過去の名言についての3択問題が何題か出題されたんですが、
正解発表はされることなく、

「答えは監督に直接聞いてください」

なんつーオチ・・・・・・それができたら苦労しないっつーの。

ちなみにこれ、ファイターズ側が相手チームを茶化して毎回テーマを変えてやっている企画なのだとか…
Wikipediaにもそのいくつかが載ってますよ。Wikipedia→「北海道日本ハムファイターズ」でどうぞ。



7回裏。
先頭の工藤がツーベースで出塁し、続く紺田(※途中出場)がバントで繋ぎます。
1アウト3塁で打席には金子誠。いつぞやの時みたいにスクイズも考えられます。

先ほど7回表にも結構ピンチだったダルビッシュ。もう1点加えて楽にさせてあげたいもの。


その金子の打席の最中、1塁側スタンドの方から、歓声と共に、「ざわ・・ざわ・・」とざわめきが。
あわててネクストバッターズサークルに目を向けると…











遂にこの男の登場が目前に迫ってきました…。


金子誠はフォアボールを選びました。

大歓声と共に、このウグイスコールです。
「9番、鶴岡に代わりまして、田中幸雄 
 背番号、6」


ライトスタンドのボルテージが最高潮に達してきました。こんな横断幕もありましたね。

1塁側は完全に総立ち状態。
♪行くぞ幸雄ホームラン、センターオーバーホームラン 弾丸ライナーだ(オイ!) 飛ばせ運べ幸雄!

スタンドのあちこちからフラッシュの光が見えます。
ちなみに今日の試合、最初はドームの2階席を閉鎖していたっぽいんですが、
途中から開放しだしたらしく、沢山のお客さんが田中幸雄見たさにやってきたのでしょう。
1塁側だけでなく3塁側からも、そのフラッシュの光が止むことはありません。

それゆえバックスクリーンのモニターにはこの表示です(笑)
(※このサイトで使用している写真は、全てフラッシュを使わずに撮影しています)



そして、田中将大が投じた4球目。



カーン!

その打球は、大廣のグラブを高くこえライト前に落ちました。


1塁側スタンドはものすごい大歓声。文字通りスタンドが沸いた状態で、幸雄コールが鳴り止みません。
私もその多分に漏れず、さらに目に涙が浮かびました
プロ野球を本格的に見るようになって5年経ちますが、こんな野球を見て泣く、というのは初めてでした。
この感動のシーンは、YouTubeでも見ることが出来るようです。「田中幸雄」で検索してみてください。
かつて東京ドーム時代のファイターズを共に支えたガンちゃんが解説で出ている映像があるはずですよ。


このあと、ひちょりの犠牲フライが出てマー君降板です。
続く田中賢介の打球はセンターを強襲し、打球が後ろに転がっているうちに、幸雄・賢介共に激走の末生還。
なんと生まれて初めて見たランニングホームランです。


田中将大から田中幸雄がヒットを放ち出塁。さらに後輩の田中賢介のランニングホームランで生還。
まさに「田中尽くし」といえたこの7回裏の攻撃。
かつて田中幸雄が長く本拠地とし、2000本安打も放ったここ東京ドーム。
その東京ドームで迎える最後の打席をこれほどまでに綺麗に飾ることはそうそうのことでは出来ません。



このときばかりは、「野球の神様」の存在を信じずにはいられませんでした。



後楽園の地に、ファイターズ一筋で真摯に野球に打ち込んできた田中幸雄に対して、野球の神様が舞い降りたと言っても、過言ではないでしょう。


さてひちょりに犠牲フライを打たれて降板したマー君の後を受けた、この佐藤というピッチャー。
私の周囲からは「佐藤って誰だ?新人か?」なんて声も聞こえてきましたが、
「全然知らない」ってことはないはずですよ。

この写真ではわかりにくいですが、中日・山井のようなゴーグル型メガネをかけています


佐藤。左腕。メガネ。(ヤクルトの佐藤賢もそうですがもう一人います。)


覚えていないでしょうか、かつて巨人に在籍していた佐藤宏志というピッチャーを。
2004年、原監督にかわって堀内恒夫氏が巨人の監督となった際、秋季キャンプでその実力を認められ、
最初中継ぎで起用しだし、途中何度か先発で投げたこともあったはずです。

その後故障などで下降線を辿り、2006年に巨人を戦力外通告され、楽天に移籍したのがこの佐藤です。
俗に言う「野村再生工場」で今後活躍できることはあるんでしょうか?



さてダルビッシュは8回を投げきって、「今後も彼には活躍してもらう必要があるから」というヒルマン監督の方針により9回を金森に託すこととなりました。その金森も楽天打線を難なく零封し、シャットアウト。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
東北楽天 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
北海道日本ハム 1 1 0 0 0 0 4 0 X 6
【勝】ダルビッシュ→金森
【負】田中→佐藤

【ホームラン】金子誠ソロ、田中賢ツーラン
この日のハムの勝利でクライマックスシリーズ進出が決定しました。


ヒーローインタビューはこの男、ダルビッシュ。
「最初の2点で十分だった」なんて大口も出ましたがどうでしたかねぇ?(笑

そしていよいよ、今日のメインイベント、田中幸雄の引退セレモニーが始まります。
恥ずかしがりな本人の性格もあり、昨年の新庄のようにドーム全体を真っ暗にして…みたいなド派手なセレモニーではなく、どちらかというとスピーチ的な性格が強いものでしたが。

まずバックスクリーンのモニターに、入団以来の彼の活躍を記録した映像が流れます。
もちろんそこには、昨年の日本一であったり、2000本安打達成の時の映像もちゃんとありましたよ。



そしてその映像が終わると、田中幸雄本人が出てきて、「皆さんにお知らせしなければならないことがあります。私田中幸雄は、2007年シーズンを持って、引退する事になりました」という言葉から始まりました。


現役生活22年。私が生まれる前からずっと野球を続けてこられました。
これだけの長い間プロ野球選手として、主力選手として活躍できるというのは並大抵のことではできないはずです。自身の不断の努力と健康管理は勿論のこと、監督やコーチに信頼され、さらにファンの大きな後押しがないとできません。



スピーチ終了後、選手会長・金子誠から花束を手渡され、
さらにB.B.に連れられて、ライトスタンドのファイターズファンに挨拶に向かいました。
いかにこの田中幸雄が、このファイターズの選手の中でも愛されてきたかがわかる一幕でした。

さすがに旧マスコットキャラのファイティーはもういませんでしたね…
いたら面白かったんですが…。


さらにその後、東京での最後の試合ということもあり、ベンチから全ての選手・コーチが出てきて、
スタンドのファンに挨拶、という展開に。


この上の写真の左端に注目してください。

その部分だけ拡大したのがこの写真。
田中幸雄とヒルマン監督ががっちりと握手を交わすシーンがありました。
共に今年限りでファイターズを去る存在です。非常に印象的でしたね…

この日の試合は、観戦に訪れたファイターズファンにとって忘れられない試合になったことでしょう。
もちろん私にとっても、忘れられない試合になったのは言うまでもありません。

おまけ

スコアボード横の東京電力の広告です。
7月に何かで見たときは、「電気と仲良くね!」というキャッチフレーズで出ていたでんこちゃんですが、
その後発生した中越沖地震の影響からか、このような広告に変更されました。

しかし・・・東京電力がこれ言っていいのかな、って思ったのはわたしだけでしょうか。


ちなみにでんこちゃんって人妻なんですって…この日まで知りませんでした(汗)


(ライトスタンドに現れたB.B.とスタンドのファンの皆様方)

「もう一度夢を」

この言葉どおり、シーズン優勝を決めたファイターズは、クライマックスシリーズで、第1ステージを勝ち上がってきたマリーンズと第5戦までもつれ込む熱戦の末、最後は成瀬を打ち崩して勝利し、名実共に「2007年のパリーグの王者」となりました。

昨年の日本一の大きな原動力となったともいえる、小笠原、岡島、そして新庄。その3人が抜けたファイターズが、まさか2007年もこうやってパリーグの王者になると開幕前から予想できた人はごく僅かでしょう。実際、私も今年は苦戦必至で、クライマックスシリーズ進出も難しいのではないかと思っていました。

しかしその3人が抜けたからこそ、紺田や稲田、小谷野、工藤などといった若手が活躍し、小技を絡めた野球をするというチームカラーが完全にできあがったのではないでしょうか。
かつてのファイターズというと、田中幸雄が現役であった頃のように、「ビッグバン打線」とも言われる超強力打線のイメージが強かったものと思います。しかしヒルマン監督の下、その方針が完全に改められました。バント、エンドラン、スクイズ、盗塁といった小技を絡め、少ない点数を堅い守りと盤石の投手陣によって守りきる。まさに2006年のWBCでも話題となった、「スモールベースボール」、本来「日本の野球」というべきやり方で、チャンピオンフラッグを2年連続でもたらすことになったのです。

残念ながら日本シリーズで中日に敗れ、2年連続の日本一はならず、ここで掲げられた「夢」を最後まで見ることはできませんでしたが、その野球スタイルは確実にチーム内に浸透したはずです。


さて2008年。
大阪近鉄バファローズ最後の監督・梨田昌孝さんが、4年ぶりにユニフォームを着てファイターズの指揮を取る事になりました。梨田時代の近鉄というと、かつてのファイターズと同様、「いてまえ打線」なる超強力打線が試合をグイグイ引っ張る印象が強い人も多いと思います。実際に2001年に優勝したときも、チーム全体の防御率は4点台と、緻密からは程遠い印象を受けます。
そんな梨田さんは、この先ファイターズをどのように引っ張っていくのでしょうか。
そして田中幸雄の背番号6を引き継ぎ、キャンプでは連日話題に上がっている中田翔。
果たして彼は第二の「ミスター・ファイターズ」となることはできるのでしょうか。


まもなく2008年シーズンが始まります。
はっきり言って今年のパリーグは本当に予想を立てづらいです。
今年も、様々なドラマが生まれることでしょう。果たして11月に笑顔でいられるのはどの球団なのか。
今年も、ファンにとっても楽しい試合が繰り広げられることを期待して、結びとさせていただきます。
2008年3月1日 豊田元広

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